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国際商品相場での金、原油、穀物のファンダメンタルズを解説

国際商品相場での金、原油、穀物のファンダメンタルズを解説

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(日本経済新聞11/7/21から引用)金は紙切れにならない実物資産。米財政赤字の拡大などで通貨ドルの威信が揺らぐなか、年金基金などが金に注目した。
ETFは現物の保管の手間が不要で市場で機動的に売買できる上、手数料などのコストが安いことなどが支持された。(中略)
安心感のある資産というだけで金が買われているわけではない。米国や中国など「(名目金利から物価上昇率を引いた)実質金利がマイナスの国で金の投資が活発だ」と英貴金属調査会社、ゴールド・フィールズ・ミネラル・サービシズ社のポール・ウオーカー最高経営責任者(CEO)は強調する。
通常の預金では物価の上昇で実質価値が目減りしてしまう。
最近ではインフレに備えるため、金以外にも原油や非鉄金属などの資源を資産として買う動きが出てきた。
金融危機前の(原油の)相場高騰をけん引したのはニューヨーク先物市場のWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)原油だ。
(中略)金融危機後は投資銀行などが大きく後退。WTiも総じて落ち着いた動きとなるが、代わってけん引役となったのがロンドン市場で取引される北海ブレント原油だ。
(中略)北海ブレントの存在感が高まった背景には、指標価格として利用される地域の原油需要が急増していることがある。北海ブレントは欧州のほか、隣接するロシア、アジアなどで取引される原油の値決めに直接、間接に使われる。
(中略)中国やインドなど原油消費が急増している地域の動向は北海ブレントの価格に反映されやすい。WTIは米経済の低迷に加え、WTI自体の過剰在庫が解消しないのも売り材料になっている。
(中略。アメリカでトウモロコシの収穫量が増えているのに在庫が減っているのは)代替燃料のエタノール向けの需要が大幅に増え、増産が追いつかないためだ。(以下略)

商品先物や現物の、国際的な動向(ファンダメンタルズ)の解説記事です。

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最近は特にリーマン・ショック以降、商品(コモディティ)相場に注目が集まっています。

日本でもお馴染みのジム・ロジャースという投資家がいます。彼は世界中を旅していることでも有名ですが、彼はジョージ・ソロスとクォンタム・ファンドを創立した人物です。

そしてジム・ロジャースは以前から商品に注目していました。今思うと先見の明がありましたね。

商品の特徴としては、第一に株式や債券と違って利息を生まないことがあります。金の延べ棒(インゴット)を金庫に入れておいても、株のように配当がもらえるわけでもなく、預金のように利息がもらえるわけでもありません。

これは原油、ガソリン、銀、コーヒーなどでも同じです。そのため、投資の基本はインカムゲインを生む株式や債券などが基本で、商品は亜流だという人もいます。

第二に、それ自体に一定の価値があるということがあります。例えば金やプラチナなどの貴金属は、どんなに値下がりしても(誰かが錬金術に成功でもしない限り)価値がゼロになることはありません。

小麦や大豆なども同じです。

その点、株式は発行元の会社が倒産などをしてしまえば、価値が大きく減ったり、ゼロになることもあります。

その点、商品は価値がゼロになったり大きく下がることは少ないですから、安全性は比較的高いと言えます。特に金などは安全資産の代表と言われます。

最近は欧州債務危機や日本株の下落などがありますが、こうした金融危機や経済危機に商品投資はリスクヘッジとして有効だと思います。


金の値上がり

金はここ10年ほど、上昇トレンドが続いています。その理由はやはり、リーマンショックなどの金融危機や、テロや戦争などによって国際政治が不安定化していること、あるいは日本やアメリカなどの財政悪化などがあります。

有事の金と言われるように、いろいろな将来への不安が金への投資マネー流入につながっています。

ただ、ドル/トロイオンスの価格が80年台は400ドル前後だったのが今は1500ドルを超えており、かなり高くなっています。今後金価格の上昇が続くかどうかはわかりません。

年金基金や各国の中央銀行も金には注目しています。なにしろ、ドルは財政悪化でアメリカ国債がデフォルトになる恐れもありましたし、ユーロはPIIGS(ポルトガル、イタリア、アイルランド、ギリシャ、スペイン)という加盟国の財政問題がユーロ安につながり、これらの国の今後も予断を許しません。

特にユーロ圏は財務が優秀なドイツの国債まで札割れ(入札が予定数に届かないこと)が多くなり、各国の銀行もユーロ圏の国債を売って資本規制強化に務めるという状況です。

そのため、機関投資家や中央銀行も安全な資産として金を買うのは当然です。なにしろ一定の価値がありますから、紙切れになる心配がありません。


金のETF

また、貴金属を扱うETF(上場投資信託)も好調です。日本でもいくつか売買されています。最近のものは現物が裏付けになっているものも多く、安心して買うことができます。

ちなみに商品先物取引では、多くの商品は個人が現受け(決済期日に現物で受け取ること)ができませんが、金はできることが多いようです。

国も銀行もあてにならないとなれば、最後は金庫や貸金庫、倉庫業者などに金塊を預けておくしかないということになります。そのために現物で受け取れるのは有用です。

ETFは証券会社に株式の口座を開いていれば、株と同じように売買でき、空売りもできることが多いです。そのため気軽に取引できるのも人気の秘密です。

私も日本がこれ以上の財政悪化を続ければ、財政破綻(破産)に備えて金のETFなどを買っておく必要があるかな、と考えています。いわば資産防衛です。

資産を守る方法としてはやはり金や銀、プラチナといった貴金属が最適でしょう。いまや通貨も信頼できない時代ですから。


商品とインフレヘッジ

商品はインフレヘッジとしてもよく使われます。インフレヘッジとは、物価の上昇に備えて実物資産などを買っておくことです。

つまり、インフレでは継続して物価が上がり、同時にお金の価値が下がります。ということは、お金を持ったままだと、その価値が下がってしまうのです。つまり資産が目減りします。

そこで、お金を株式、不動産、各種商品などに換えておこうというわけです。現在は日本はデフレですからあまりインフレヘッジをする必要はありませんが、中国のような成長著しい国の資産家はインフレヘッジをしていることでしょう。

日本では、ずっとデフレが続いていますが、今後どうなるかはわかりません。私が一番心配しているのは、極度に悪化した日本の財政です。

今後も財政が悪化すれば、国債の引き受け手が少なくなり、金利が上昇する危険があります。それだけですと金利が上がるのでインフレにはいかないかもしれません。

しかし、いよいよ財政再建が無理になると、政府が巨額の借金を無理矢理に減らすために、お札をたくさん刷ってインフレにするかもしれません。

なぜなら、お金を沢山流通させれば、お金の価値が激減して、それだけ借金の実質的な額を減らせるからです。

もちろんここまで行くと、年数%のインフレ率では意味がありませんから、ハイパーインフレになる可能性があります。まあ、こうなれば日本は政治も経済もめちゃめちゃになってしまうでしょう…。

というわけで、日本でも今後、インフレに備える必要があるかもしれません。もちろん、その前に財政再建に取り組んでもらえると期待していますが。

今後、金価格がどうなるかはわかりません。ただ、アメリカやヨーロッパ諸国で財政問題がくすぶり続けるでしょうし、成長を続ける中国やインドなどで投資目的や宝飾品として需要が伸びるでしょう。

そう考えると、上昇がしばらく続くのではないかと思います。


原油

次に原油です。私は原油に詳しくないので勉強になりました。原油は主要エネルギーとして、発電や運輸といった経済に不可欠のものですし、私たちの暮らしでも自動車のガソリン、暖房用の灯油などでとてもお世話になっています。

商品先物取引では原油それ自体は上場していませんが、ガソリンと灯油はあります。ガソリンスタンドの価格ヘッジなどに使われています。

最近は航空機に乗る人は燃油サーチャージを負担しないといけなくなりました。原油値上がりの背景を見ますと、第一に中東、北アフリカでの民主化運動(アラブの春)があります。

リビアではカダフィ大佐が死亡し、エジプトでは選挙がいつになるかと言われています。まさかこうなるとはアメリカのCIAも予想していなかったかもしれません。

独裁政治によって苦しめられてきた国民が民主化によってよい政治をしてもらえるのはよいことですが、原油の供給としては不安定になります。


脱原発の影響

第二に日本の原発事故がありました。東日本大震災は津波だけでも大きな被害でしたが、福島第一原子力発電所で事故が起きてしまい、放射性物質が近隣に放出されてしまい、大変なことになっています。

原子炉の冷温停止は年内に行われる目標になっていますが、汚染された土などの除染や処理など、問題は山積みです。

原発事故を受けて、脱原発が模索されています。私は以前から使用済み核燃料をどう処分するか、あるいは廃炉のコストを考えると原子力発電は減らしていくべきだとは考えていました。

ただ、火力発電では原油が必要ですし、CO2を排出しますから地球温暖化の原因になります。自然エネルギーはクリーンなのが素晴らしいですが、風力発電は日本の狭い国土では設置が難しく、鳥がぶつかって死んでしまう、低周波音が健康に悪影響を与える可能性があるという問題もあります。

このようにいろいろな問題があって、脱原発は理想としては素晴らしいですが、実際には難しい面もあります。

原油との関連で言いますと、やはり日本が脱原発をするとなると、当面は火力発電などに頼らざるを得ません。そうすると原油をたくさん買わなければいけません。

また、日本だけでなくスイスやドイツなども脱原発を進めるようですが、そうなると原油高に拍車がかかってしまうわけです。

ちなみに日本の今後のエネルギー政策を考えますと、当面は火力発電やガスタービン発電などを増やし、原発については3.11のような大きな津波が来ても大丈夫なように高所に予備電源を設置する、防波壁を設置するなどのできるだけの安全策を取るべきでしょう。

そして、地熱発電や風力、水力、波力発電などの自然エネルギーの研究を続けるべきだと思います。メガソーラーや家での太陽光発電も普及を進めます。

最近ではバイオエタノールも価格を原油と遜色ない値段に下げられるようになったそうですし、藻から油をつくる研究も行われています。

こうして原発をできる限り安全にし、自然エネルギーの比率を増やして、徐々に原発を減らしていくのが現実的だと思います。

原油価格を押し上げる原因の第三は、中国やインドなどの経済成長です。昔は中国では北京などで自転車が多く乗られていました。私はあの光景を見て、環境負荷が少なくてよいことだとおもいました。

しかし、やはり経済成長が続けば多くの国民が豊かになって、自動車に乗る人も増えます。特に国土が広大な中国では当然でしょう。

中国は公共交通機関も増やしていますが、先日も高速鉄道で大事故が起きてしまいました。となるとやはり自動車の人気が高まるでしょう。

ただ、十数億人の人口がいる中国やインドで経済成長が続き、みんながどんどん車に乗ると原油価格をさらに押し上げるだけでなく、環境にもどうなのかと思ってしまいます。


WTIと北海ブレント

私は原油に詳しくないので、WTIが原油価格の指標かと思っていました。しかし最近は北海ブレントが主役だそうです。

確かにアメリカよりもロンドンのほうが欧州、ロシア、アジアなどに近いですからね。ただ、北海ブレントとWTIの価格差がかなり開いているので、サヤ取り(裁定取引)が増えるなどして差が縮まるかもしれません。


穀物

最後に穀物です。日本の商品先物では大豆、小豆、粗糖などがよく売買されています。

アメリカで増産にもかかわらずトウモロコシが品薄になっているそうです。その理由は、バイオエタノールにするためです。

農家にとっては嬉しい悲鳴でしょう。また、バイオ燃料はCO2を増やしませんから地球温暖化にもよいです。

ただ、食料をエネルギーにしていいのかという疑問は各国で提起されているようです。そのため最近は非食物を燃料用に栽培することが増えています。

TPPに日本が参加することになりそうで、私は基本的に賛成です。農業へのダメージが心配されますが、耕作放棄地が埼玉県の面積ほどありますから、ここでバイオ燃料用の作物や漢方薬の原料などをつくれば、日本農業ももっと発展の余地があるように思います。

また、バイオ燃料も低コストで作れる技術が開発されていると聞いています。そうなれば、日本のエネルギー自給率も上がるかもしれません。

ただ、商品相場の問題として、こうした食べ物などの価格が投資マネーに左右されて上下するのはどうかというものがあります。そのため、各国が建玉制限などを行なっています。

まあ、相場がある以上、価格が上下するのは仕方がありません。過度の投機を防ぐしかないでしょう。

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