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米格付け会社が日本に国債残高を減らすよう求めた

米格付け会社が日本に国債残高を減らすよう求めた

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私は常日頃から、日本は借金、つまり国債の債務残高を減らさないと、財政破綻やハイパーインフレなどを招いてしまうのではないかと危惧しています。

アメリカの格付け会社も日本の債務残高のあまりの多さに警告を発しました。

(読売新聞10/2/26から引用)

米大手格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスは25日、日本国債の格付けを中長期的に維持するためには、政府が債務残高を減らす努力を続けることが不可欠との認識を示した。
都内で記者会見した日本国債担当アナリストのトーマス・バーン氏は「政府が6月に策定する中期財政フレームの中身を見極めたい。財政赤字が高止まりし続ければ、格付けにとってはマイナスだ」などと指摘した。
ムーディーズは現在、日本国債(円建て)の格付けを、21段階で上から3番目の「Aa2」としている。
日本国債の格付けでは、米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)が先月26日、見通しを「安定的」から「ネガティブ」(弱含み)に引き下げている。

(引用終わり)

コメント:スタンダード・アンド・プアーズが日本国債の格付けを下げたのに続き、ムーディーズの担当者もいわば警告を出したといえます。

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これは当然のことだと思います。2010年現在で国の債務残高は約860兆円、GDP比で200パーセントに近くなっています。先進国で飛びぬけて借金が多いのです。

ムーディーズの上から3番目という格付けは高すぎるくらいだと思います。

もっとも、政治家の中にも国の財政状況に危機感を抱いておられる方も多く、10年7月現在の総理大臣である菅直人氏もそうです。

ただ、国債残高を減らすためには税率を上げなければならないというのはわかるのですが、そうすれば消費が冷え込んで経済が悪化するでしょう。

まずは財政支出の無駄を徹底的に削った上で、使途を明確にして消費税を上げるというような順番が不可欠ではないでしょうか。

なお、菅総理の財政再建に取り組むという姿勢は評価しますが、それでも10年後にプライマリー・バランス(基礎的財政収支)を赤字から黒字にするという目標だそうですから、その間は赤字国債を発行することになります。

ということは、少なくとも10年は国債発行額を最大限抑制しても、借金が増え続けるわけです。そうなれば国債の償還や利払いに充てられる「国債費」も増え続けるのですから、前途はかなり困難です。


○放置してはいけない

このように巨額に膨れ上がった日本の借金を減らしていくことはとても難しいことですが、かといってこのまま放っておいてはいけません。

一番いけないのは、赤字国債を乱発して、さらに国債発行残高を増やすことです。国債残高が増えれば増えるほど、国債費も増えます。そうすると、増えた国債費を賄うためにさらに国債を発行するという悪循環になってしまいます。

それでは今すぐ赤字国債の新規発行額を0にしようというのはどうでしょうか。国債残高を減らすためには正しいスタンスですが、実際には10年度の税収は約37兆円で、そのうち約20兆円が国債費(借金の返済)に使われています。

もし赤字国債の発行を今すぐゼロにすると、17兆円の予算内で国のすべての歳出をまかなわなくてはなりません。

そうすると、かなりの緊縮財政になり、公務員の給与は大幅に削減し、公共事業も大幅にカット、国民の社会保障も今の水準はとても保てないでしょう。

そうしますと社会のいたるところに大混乱が起きてしまいます。景気も一気に冷え込み、失業する人も大幅に増えるでしょう。

そのため、今すぐ赤字国債発行をゼロにするという案は、財政の健全化という点では理想的ですが、現実には難しいです。

そこで、赤字国債の発行額をなるべく少なくして、なるべく早い時期に赤字国債を発行しないようにする。そして、毎年少しずつでも既発の国債を償還していき、徐々に債務残高を減らしていくというのが現実的な方法になります。


○増税

ただ、これでもかなり厳しい道となります。まず、増税は避けられないでしょう。現在検討されているのは、消費税を10パーセント程度まで上げる、所得税の最高税率を上げて富裕層に税金を多く払ってもらう、という案です。

消費税を1パーセント上げると、2兆円あまりの税収アップになるそうです。5パーセント上げれば10兆円あまりの税収アップになります。

次に、所得税を上げて、所得の多い人に今よりも多く負担してもらうというのは、経済的余裕のある人に税金を払ってもらおうというわけで、現実的です。

しかし、現在でも所得税と住民税とをあわせて最高50パーセントの税金を払ってもらっています。いくら累進課税とはいえ、昔のように所得税だけで7割も税金でとるというのは行き過ぎです。

そのため、高額所得者に対する所得税率アップもあまり大きく上げるわけにはいかないでしょう。

また、現在は所得税を払っていない所得の少ない人にも少し所得税を払ってもらおうという案もあります。

これも現実的な案ですが、所得の少ない人からたくさん税金を払ってもらうわけにはいきませんので、税率は低くしないといけません。


○どれだけ借金を減らせるか

ただ、このように消費税や所得税の税率を上げても、それでは毎年どれだけの国の借金を減らしていけるかを考えると、厳密に計算したのではありませんが、よくてせいぜい数兆円ではないでしょうか。

というのは、10年度の予算が税収が約37兆円、国債発行額が約44兆円でした。これを緊縮財政にしたうえで増税したとして、せいぜい税収は20兆円程度のアップにしかならないでしょう。

あるいは増税は景気を冷やすので、税収はもっと下がってしまうかもしれません。

仮に税収が57兆円になったとして、国債費だけで現在20兆円かかるのですから、残り37兆円で予算を組むことになります。計算しやすいように新規国債発行額は0とします。

これではかなりの緊縮財政になりますので、もしとことん歳出の無駄を削って国債発行残高を減らせたとしても、数兆円にしかならないのではないか、と思うのです。

仮にこうした努力によって毎年2兆円ずつ国債残高を減らしていったとしても、860兆円あまりの国債を全部なくすまでに400年以上かかってしまいます。半分減らすとしても200年です。

ただ、国債残高を減らし続ければ、国債の利払い費が次第に減るので途中から少しは楽になるでしょう。また、この努力によって日本の財政は大丈夫だ、と海外投資家に認めてもらえば、資金が流入して景気がよくなり、税収が増えるかもしれません。

と、このように希望は持っているものの、やはり400年以上も借金返済にかかるというのは絶望感を抱いてしまいます。

しかし、国債の約95パーセントを国内で消化できている今のうちに借金を減らす手立てを打たないと、手遅れになります。

あと10年ほどで、国民の金融資産の総額を国債発行残高が上回ってしまうというデータがあります。そうすれば、国債を発行しても引き受けられる人が国内にいないことになってしまいます。

国債を引き受けてくれる人や法人が少なくなるだけでも、長期金利が上昇します。そうなれば、既発国債の価格の暴落や景気の低迷、国債費の増加につながります。

もっとひどくなれば、金融機関の破綻や経済の大混乱、ひいては国債の債務不履行(デフォルト)やハイパーインフレという最悪の事態になりかねません。

そうならないうちに、一刻も早く財政健全化へ向かうべきだと思うのです。

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