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小口で引き出せる貴金属ETFが登場

小口で引き出せる貴金属ETFが登場

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(日本経済新聞10/6/16から引用)
金やプラチナ(白金)の1キロの延べ板と交換可能な上場投資信託(ETF)が7月に東京証券取引所に上場する。

株式と同じ感覚で売買できるETFに地金投資に似た安心感を持たせた。組成から販売まですべて国内企業が手がけ、上場準備中のコードネームは「日の丸」。

ETF投資を通じて貴金属の国内の蓄積が増えれば大災害などの有事への備えに厚みが増すとの見方もある。

「小口で現物を引き出せるETFは海外でもなくユニークだ」。金融・貴金属アナリストの亀井幸一郎氏はこう語る。

「日の丸」は商品化にあたって「金の果実」シリーズに名称が変わり三菱UFJ信託銀行が発行する。金、銀、プラチナ、パラジウムの4種類で円建てのグラム単位で取引する。

東京工業品取引所の価格を指標にし、現物の交換にかかる手数料を含めても大手地金商の店頭価格と同水準になる見通しという。

現物を手元に置くことを好む日本人の志向に合わせた。相場変動で元本を割るリスクがある点は通常の金投資と変わらない。

金現物を裏付けとするETFとしては東証上場の「SPDRゴールド・シェア」が知られるが、海外のETFを日本に持ってきて重複上場させた商品だ。

裏付けとなる地金はロンドンの銀行の地下金庫にあり国内では交換できない。海外での交換も最低10万口(10億円程度)からと、事実上個人の引き出しは困難だ。

「金の果実」は国内倉庫に地金を保管し現在の相場水準なら最低300万円台後半で引き出せる。

隠れた利点もある。経済産業省は「今のところ4つの貴金属の備蓄の必要性は高くない」としている。ただ、通貨市場が混乱したとき、貴金属は有力な貿易決済手段となる。地金を国内に保有するETFが普及すれば国全体でみた有事の備えは厚くなる。

「金の果実」は、従来のETFで一般的な投信会社ではなく信託銀行が発行主体となり、組成には商社が関与する。2006年の信託法改正でこの仕組を使ったETFの発行が可能になった。

東証も3月に規制を改定し、商社などがETFの組成に関与できるようにした。「今回のような商品を念頭においた」(上場部の舞田浩二商品企画担当課長)という。

商品先物業界では「新型ETFへの投資が増えれば、プラチナなどは現物需給の引き締め要因になりうる」(フジトミの斎藤和彦チーフアナリスト)との声がある。

もっとも金のETFだけですでに4本が上場しており、売買が低迷している銘柄もある。最大のSPDRゴールド・シェアの5月の売買代金は115億円と株を含めた東証のETFで4番目に大きい。

新顔のETFが投資家の関心を集めシェアを奪うためのハードルは低くない。(引用終り)

私がこの記事を書いている時点では、すでにこの金の果実は上場されています。結論から申しますと、かなり魅力的な商品だと思います。

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メリット

まず、ETFの利点(メリット)から申しますと、上場されているので証券会社の口座を開設していればそれだけで取引できます。また、日中にリアルタイムで売買できるので、ザラ場の値動きを見て売買したい方にはよいでしょう。

特に、商品型のETFは、金などの現物や先物に投資するのと同様に、株価下落の際のリスクヘッジに使えます。例えば、金は世界同時株安などの場合に値上がりする傾向があります。

そこで、金ETFを買っておけば、理論上は手持ちの株の下落分とETFの値上がり分とで相殺できる(ヘッジできる)というわけです。

また、ETFは売りから入れる、つまり株で言う「空売り」ができるので、基準価格が下がると思えば売り注文をすれば、下落分が利益となります。

こうしたいろいろなメリットがある商品だけに、私も特に貴金属ETFには注目しています。


安全性

さて、この金の果実の大きな特徴は、金や銀などの貴金属の現物(地金)を、1キログラムという小口の単位で引き出せるという点にあります。

引用記事にあるように、例えばSPDRゴールド・シェアでは、現物を手にしたいと思っても、ロンドンまで足を運んで地金を受け取るか、最低10万口から現物に交換するしかなかったのです。

これは多くの投資家にとっては事実上不可能です。

一方、「金の果実」は1キログラム単位で地金と交換できるようになります。金が1グラムあたり4000円とすると、400万円です。これなら、地金が欲しくなれば交換することができます。

おまけに手数料を含めても大手地金商の店頭価格と同等というのですから、コストの面でもお得です。

確かに日本人は現物を手元においておきたい傾向があるようですね。やはりその物のほうが信頼ができる感じがします。外国人はそうでもないのでしょうか?

とはいえ、この金の果実は、現物の裏付けがきちんとあり、信託銀行が管理しています。そのため、現物に交換しなくても信頼性は十分にあります。

次に、元本を割るリスクがあるという点に付いて。これは相場の変動する商品である以上は当然のことです。ただ、倒産などによって価値がゼロになる恐れもある株式などと違い、貴金属にはそれ自体に一定の価値があり、それがゼロになるということはありません。
参考:金の価格変動の解説

その意味で、安全性が高い商品であることは間違いありません。


手軽に売買できる

このように元本割れのリスクは当然あるものの、貴金属それ自体に価値があることから、安全な資産運用にとても適していると思います。

また、前述のように金などは株価下落のリスクヘッジによく使われます。ヘッジ目的にも使いやすい商品だと思います。

加えて、現物と違って、売買が迅速に、手軽に行えるのも魅力だと思います。例えば金の延べ棒を売るには、貴金属商に持っていくか、来てもらうかしなければなりません。これは犯罪などのリスクを考えると、気軽にはできません。

一方、ETFなら売買をしたい時にネットなどで注文を出せば、即座に決済されます。そのため、盗難にも遭いませんし、気軽です。

ところで、この「金の果実」の仕組みをご紹介しておきます。信託という仕組みを使って、商社が金市場から現物を調達します。そして、商社が委託者、信託銀行が受託者となって、信託契約をします。そして受益証券が発行されて、投資家に交付されることになります。

地金は国内倉庫に保管してあるので、国内で現物に交換できるのです。

こうした信託を使ったETFが作れるようになったのは、幅が広がるので歓迎すべきことだと思います。

次に、有事への備えとなる点について。これはあまり個人投資家にとっては関係ないことですが、記事にあるように通貨市場が混乱したとき、貴金属が国内にあれば有事への備えとなります。

通貨というものは変動相場制である以上、価値が刻々と変化します。一方で貴金属はそれ自体に価値がありますから、やはりある程度備蓄しておいたほうがよいはずです。


魅力が大きいと思う

引用記事では商品先物との関係についても触れてあります。ETFで貴金属が買われれば、金などの売買が増えますから、商品先物にとっても良い面があるでしょう。

一方で、これまでは商品先物取引を使って金や銀などを買い、ヘッジに使ったり現受け(現物で受け取る)をしていた投資家が、貴金属ETFに流れてしまうというマイナス面もあるはずです。

商品先物業界も不況が続いています。やはり一部の悪徳業者によってイメージがかなり悪化したり、法改正によって規制が厳しくなったという自業自得の面もありますが、商品先物は市場経済に欠かせない制度です。

そのため、商品先物もETFに負けないように、独自のメリットを打ち出して売買を活性化してもらいたいと思います。

最後に、金の果実の今後の課題について。記事にあるように、金ETFの中には売買が低迷しているものもあり、一方で最大のSPDRゴールドシェアは売買数が多いです。

そのため、後発となるこの商品にとっては、売買高を増やすべく頑張らないといけません。ただ、前述のようにこの金の果実は、売買数量がトロイオンスでなくグラム単位であり、気軽に現物として引き出せるなど、メリットはかなり大きいと思います。

今後も好調に取引されるのではないかと期待しています。

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