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為替ヘッジの付いた投資信託の特徴とメリットなど

為替ヘッジの付いた投資信託の特徴とメリットなど

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(日本経済新聞10/10/25から引用)
円高を背景に、外国為替相場の変動リスクを抑えた投資信託の人気が高まっている。
金融商品評価会社のモーニングスターの調べでは、9月末の為替ヘッジ付き追加型投信(確定拠出年金専用とファンドラップを除く)の本数は前年同月比51本増の252本、純資産額は39%増の9420億円になった。
為替ヘッジ付き投信は、主に外国株や外国債券で運用し、為替予約の活用で為替リスクをヘッジ(抑制)する。
ヘッジがないと円高時に投信の基準価格が下がるリスクがあるが、ヘッジ付き投信は為替の影響を受けにくい。昨年来、円高を背景に資金流入が増加している。
ただ「ヘッジコストが投資家に見えにくい」(モーニングスターの渡辺晋司アナリスト)面がある。為替ヘッジには円と投資先の通貨との金利差分がコストとしてかかるが、基準価格はこのコストを反映したうえで表示される。
運用報告書などで具体額の記載がない例も多く、投資家の負担額が分かりにくい。
また円安が進む局面では外貨の値上がり益を得られず、ヘッジなしに比べ運用成績が見劣りする点にも注意が必要だ。

(引用終わり)
外国の株式や債券で運用するタイプの投資信託では、為替にも目を配る必要があります。

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例えば、ブラジルの企業のみの株式に投資する投信があったとします。そうすると、ブラジル通貨であるレアルが安くなり、円が高くなるとどうなるでしょうか。

レアルが安くなった分だけ、株式の価値も実質的な配当額も下がってしまいます。

そのため、海外投資において円高、外貨安になることは、投資家にとってはデメリットなのです。

そこで、投資信託でも為替ヘッジをしてくれるものが色々と出ています。投資信託は、自分で株の銘柄などを選ぶのが難しい投資初心者などに人気がありますが、為替ヘッジも自分でやるのは同様に面倒なものです。

そのため、運用側で為替ヘッジも併せてしてくれるというのは、なかなかのメリットだと思います。

特に2010年は、かなり円高が進んで、1ドル=80円台にまでなりました。ヘッジ付きの投信が人気なのは、やはりそうした為替変動が背景にあると思われます。

ちなみにファンドラップとは、投資家が投資方針を示した上で、証券会社などに資産運用を一任する取引のことです。これですと、投資家は投資信託をどれにするか選ぶ手間すら要りません。

さて、それでは具体的にはどのように為替ヘッジを行うのでしょうか。為替予約などを使います。


為替予約は本来危険ではない

為替予約とは、将来の為替レートをあらかじめ決める契約のことです。いわば、先物取引です。

最近人気のFXというものがあります。これは高いレバレッジが掛けられる、売りから入れるという特徴があり、デリバティブ(金融派生商品)の一種です。

ただ、外貨預金もFXも将来の値ではなく、現在の値を売買する「直物(じきもの)」と呼ばれる取引です。

為替の先物を扱うには、私はあまり詳しくないのですが、通貨スワップや、通貨オプション取引などを利用することになるようです。

通貨スワップ取引は、先物と直物を将来交換する取引です。通貨オプションは、将来その通貨を売買する権利を売買するもので、買い手は通貨レートが自分に不利になれば、権利を放棄できるという利点があります。

ちなみに、為替予約は日本の大企業なども利用しているところがあります。輸出企業は円高になれば、輸入企業は円安になればそれぞれ売上が目減りしてしまいますので、為替リスクはとても重要なものなのです。

しかし、こうした為替予約のデリバティブを利用したところ、かえって大きな損失を出してしまったというケースもあります。

ただ、私から言わせてもらえば、デリバティブの使い方に問題があったのではないでしょうか。為替ヘッジ目的の為替予約は、本来そんなに危険なものではなく、かえって安全なものです。

例えば前述のオプション取引は、損失を限定するために使われます。決して危険なものではないのです。ただ、レバレッジを高くし過ぎるようなことをすればその限りではありませんが。

11/7/5追記:中小企業が為替ヘッジ目的で為替のオプション・デリバティブを利用し、損失を出してしまった件は、その商品自体に問題があったのではないかと指摘されているそうです。

それが事実ならひどい話です。可能なら、為替ヘッジはご自分で行ったほうがよいでしょう。追記終わり。

デリバティブやオプション取引というと、危険なイメージで捉えられる事が多いのですが、正しく使えばこれらの取引は、かえってリスクヘッジのために安全に使えることも多いのです。


まあまあのところでの予約が大事

さて、為替予約は、将来どうなるか分からない為替レートを、事前に固定するところに意味があります。

例えばある輸出企業が円高に備えて、1ドル=100円の時点で、1年後の為替レートを固定したいと考えたとします。その企業にとって、70円や80円という円高になってしまうと、売上高が大きく減ってしまうでしょう。

そこで、1年後の為替レートを100円や90円くらいで固定できれば上等だと思えば、そうした予約をすればよいのです。仮に1年後に95円、という予約ができれば、その後どんなに円高になろうと円安になろうと、その企業にとっては1年後の1ドルは95円なのです。

ところが、同様のケースで決断が遅かったり、欲張りなケースですと、こう上手く行かないこともありえます。例えば、1年後の為替予約が1ドル=90円でしかできないとします。

その企業は「こんなレートで固定してしまったら、もしそこまで円高にならなければ利益が減る。円安になるかもしれない」と考えて、為替予約をしなかったとします。

その後、6ヶ月経った時点で、為替レートがかなり円高になってしまい、直物が1ドル=90円になってしまいました。あわてて半年後の為替予約をしようとしましたが、直物を反映して先物も1ドル=85円でしか予約ができなくなっていました。

この場合、先程の1ドル=95円で予約できたケースよりもはるかに不利な値段での予約になってしまいました。

このように、為替予約は早めに、欲張らずにすることが大事だと思います。自社にとってこのくらいのレートならまあまあだな、くらいのところで予約をしておいたほうがよいでしょう。


損失も利益も減らす

前述の例で、今後円高になるとは限らない、円安になるかもしれないじゃないか、と考えた場合を挙げました。

確かに、その後に円安になれば、輸出企業は為替ヘッジなどする必要はありません。かえって為替ヘッジをしていない方が、利益は増えたでしょう。

しかし、円高になるかどうかを予想するのはとても難しいです。ヘッジは保険のためのものなので、どちらに転んでも大丈夫というようにするものです。

例えば交通事故に備えて自動車保険に入るのは、「事故に遭うかもしれない」と考えるからです。加入後に、事故に遭わずに済めば、保険料は丸損になってもったいない気もするでしょう。

しかしそれは、事故に遭わなかったから言えることで、もし事故にあっていたなら、保険に入っていなかったらすごく困っていたことになっていたはずです。

為替ヘッジも同じで、円高になるか円安になるかわからないからこそ為替予約をするのです。

結果として円安になり、ヘッジはいらなかったとしましょう。この場合、ヘッジをしたことにより、しなかった場合よりもその後円安になった分は売上が減ります。

しかし、それはいわば自動車事故に遭わずに済んだことと同じで、保険料が掛け捨てになったけれどよかった、と考えるべきことなのです。

まとめますと、為替ヘッジは予約をした時点で将来のレートを固定しますので、その後円高になっても損を出さない代わりに、円安になっても利益が増えないのです。

ヘッジをしないほうが儲かるときもありますが、それはハイリスク・ハイリターンということです。事業活動や投資においてリスクを低くすることは大事だとお考えなら、為替ヘッジを活用すべきだと思います。


任せられるのはメリット

さて、為替ヘッジの解説が長くなってしまいましたが、為替ヘッジの付いた投資信託を利用すれば、(運用者の腕にも寄りますが)為替レートの変動によるリスクを減らせます。

前に述べたブラジルの株式投信でも、自分でやろうと思えば為替ヘッジはできるでしょう。レアルとの為替スワップ契約ができるのかどうかは私は分からないのですが、為替予約を使えなくても、FXでもある程度はヘッジ出来るはずです。

具体的には為替ヘッジのない投信を持っている場合に、例えばFXの円/レアル相場で、円がまあまあ安い時点で円を買ったり、レアルを売っておけば、為替予約と同じような効果を得られます。

しかし、このように自分で為替ヘッジをするには、知識と手間が必要です。その点、運用元にそれを任せられるという点で為替ヘッジ付き投信は使いやすいと思います。


ヘッジのコスト

次に、ヘッジにかかるコストが分かりづらいというのはその通りです。円と投資先の通貨との金利差分がコストとしてかかるのは、FXのスワップ金利と同じです。

ちなみにスワップ金利と前述の為替スワップ取引はまったく別のものです。

現在、円はほぼゼロ金利政策が採られているので、外貨売り/円買いをすると、金利負担はけっこう大きくなります。例えばブラジルのような金利の高い国の場合は特に大きくなります。

基準価額にそのコストが反映されるそうなので、それを注視するしかないでしょう。

引用記事の最後にある、円安での利益が減るというのは、前に述べたとおりです。これはヘッジをする以上は仕方のないことです。

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